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2006年06月17日

「ネバー・セイ・ネバー・アゲイン」(Never Say Never Again)

マティーニはドライ

『ネバー・セイ・ネバー・アゲイン』で、ウオーター・スキーを楽しんでいた美女ファチマは、誤ってボンドの腕の中へ飛び込んでしまう。

FATIMA: Oh, how reckless of me. I made you all wet. 
BOND: Yes, but my martini is still dry. My name is James.       
「あら、私ってなんて向こう見ずな。あなたをすっかり濡らしちゃって」
「ええ、でもマティ−ニはドライのままです。ジェームスです。よろしく」

-『ネバー・セイ・ネバー・アゲイン』(Never Say Never Again 1983年 監督:アーヴィン・ケーシュナー/脚本:ローレンツオ・センプルJr.)

 ジンにしろ、ウオッカにしろ、ドライ・ベルモットを少し入れるだけで、どうしてあんなに美味しいカクテルになってしまうのか?ボンドは飲み物に関して具体的な注文をする。
"A Martini. Shaken, not stirred." のマティーニは世界的に流行した。普通、マティーニはジンにドライ・ベルモットを少し入れ、ステアだけでシェークしない。それを、ウォッカでシェークしてというところがボンド流。ほかの映画で、ジェームス・jボンドは、

“Vodka martini, please. With a slice of lemon peel.”
「ウォッカ・マティーニにレモンの皮を入れて」

と注文している。マティーニほどエピソードの多いカクテルはほかにない。


(原島一男/はらしまかずお)

初出:「WIN-WIN交渉術」ガレス・モンティース/佐藤志緒理 清流出版(株)p42
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2006年06月10日

「アメリカン・ビューティー」(American Beauty)

 アメリカの郊外の住宅地に生活する中流サラリーマン家族をコミカルに、シニカルに、また残酷に描く「アメリカン・ビューティー」。ガーデニングが行き届いた庭、広い家。高級家具、最新の設備。物質的には豊かなのに、不毛、孤独、閉塞も同居している。家族揃った夕食のとき、母親はBGMを流す。それを聞きながら、高校生の娘ジェーン(ソーラ・バーチ)が母親に向かって言う皮肉とも冗談ともつかない言葉。

Mom, do we always have to listen to this elevator music?
「ママ、いつも、こんなエレベーターでかかるような音楽を聞かなくちゃいけないの?」

  elevator music という単語からは、現代の象徴である高層ビルやハイテクも感じられる。

 また、ジェーンは、こんなことも言う。

 Look, Mom, I really don't feel like having a Kodak moment here!    
「ママ、ここでは写真に撮っておくほど幸せな気持ちにはなれないの!」

 Kodak momentとは、いかにも幸せそうな家族がカメラに向かって微笑みかけているコダックの広告写真を意味する。母親は火のように怒るが、娘の言っていることに気がついて、自分の生活を振り返る。

-「アメリカン・ビューティー」(American Beauty 1999 監督:サム・メンデス 脚本:アラン・ボール)

(原島一男・はらしまかずお)

初出:「WIN-WIN交渉術」ガレス・モンティース/佐藤志緒理 清流出版(株)p32
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2006年06月07日

「ザ・コンテンダー」(The Contender)

副大統領は撃たれない

「ザ・コンテンダー」は、任期の途中で亡くなった副大統領の後任として、大統領から指名を受けたレイン・ハンソン上院議員(ジョーン・アレン)の物語。女性という理由だけで、議会の反対勢力は対立候補を立てたり、過去のスキャンダルを公表したりして、彼女を牽制する。Contenderとは「競争者」のこと。そんなある日、彼女は小学生の息子ティモシーを伴ってホワイトハウスへ。大統領とティモシーの会話。

PRESIDENT: You must be very proud of your Mom.
TIMOTHY: Year. Being the Vice President is better than being the President.
PRESIDENT: Oh, I'm sure you're right.
TIMOTHY: Because nobody wants to shoot the Vice President.

「ママのこと、誇りに思っているだろう」
「うん。副大統領になるのは大統領になるよりいいんだもん」
「そうだろうな」
「何故かっていうと、誰も副大統領を撃たないからね」
 ー「ザ・コンテンダー」(The Contender 2000 監督/ 脚本:ロッド・ルーリー)

(原島 一男)

初出:「WIN-WIN交渉術」ガレス・モンティース/佐藤志緒理 清流出版
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2006年05月06日

「秘密のかけら」(Where the Truth Lies)

「記録に残さなければ何も意味がない」

カナダ、イギリス、アメリカが合作した「秘密のかけら」(Where the Truth Lies 2005 監督・脚本:アトム・エゴヤン 原作:ルパート・ホルムズ)は、過去と現在、虚構と真実を組み合わせたサスペンス・ドラマ。1950年代の人気エンターテイナー・デュオのラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)がコンビを解消したのは若い女性の死をめぐるスキャンダルが原因でした。それから15年経った1972年、ロサンゼルスの女性ジャーナリスト、カレン・オコナー(アリソン・ローマン)が事件の謎に迫ります。これは、カレンの父親の言葉。

Nothing had meaning unless it could be put on the record.
「記録に残さなければ何も意味がない」

カレンは、事件の当事者であったラニーとヴィンスのほか、関係者やモーリーンの母親なども取材、隠された事実が判明します。

(原島一男・はらしまかずお)

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2005年11月26日

「Mr. & Mrs. スミス」(Mr. & Mrs. Smith)

「会いたかったよ」
「わたしも会いたかった」

 夫婦が殺し屋同士の物語「Mr. & Mrs. スミス」。しかも、相手を殺さなければならない運命に!
 いわば‘ばかしあい’とも‘さぐりあい’の男と女のシンプルな会話を楽しみましょう。

 家へ帰って来たジョン(ブラッド・ピット)をジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)がさりげなく迎えます。

JANE: Perfect timing.
JOHN: As always...This is a nice surprise.
JANE: I hope so. You're home early.
JOHN: I missed you.
JANE: I missed you, too. Shall we?
JOHN: Yes...Thought you only broke these out for special occasions.
JANE: This is a special occasion.
JOHN: Hm.
JANE: Mm.

「ぴったりのタイミングね」
「いつも、そうだよ。嬉しい驚きかな」
「そうだといいわ。早かったのね」
「会いたかったよ」
「わたしも会いたかった。食べましょうか?」
「うん。特別な時でないと、このお皿は使わないんだろ」
「今日は特別よ」
「そう」
「そう」

・ Shall we? = Shall we eat?
・ Thought you 〜 = I thought you only broke these dishes out for special occasions. (これらの皿は特別の時のためにだけ取り出すと思った)

-「Mr. & Mrs. スミス」(Mr. & Mrs. Smith 2005年 監督:ダグ・リーマン 脚本:サイモン・キンバーグ)


(原島一男・はらしまかずお)
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2005年11月21日

「ドア・イン・ザ・フロア」(The Door in The Floor)

アメリカの現代作家ジョン・アーヴィングの長篇小説「未亡人の一年」を映画化した「ドア・イン・ザ・フロア」。ニューヨーク郊外のロングアイランドに住む児童文学作家テッド・コール(ジェフ・ブリッジス)と妻のマリアン(キム・ベイシンガー)は、はたから見ると幸せそうです。しかし、マリアンは数年前二人を襲った出来事から立ち直れない深い悲しみの中に生きています。居間と寝室をつなぐ廊下の両側に飾られた沢山の写真を見ながら、4歳になった一人娘のルース(エル・ファニング)が父親に質問します。

Dead means they're broken?
「死ぬって壊れること?」

RUTH: Dead means they're broken?
TED: Well...their bodies are broken, yes.
RUTH: And they're under the ground?
TED: Their bodies are, yes.
RUTH: Tell me what dead is.
TED: Umm...When you...When you look at the photographs...of Tomas and Timothy, do you remember the stories of what they're doing?
RUTH: Yes.
TED: Well...Tom and Timmy are alive in your imagination.

「死ぬって壊れること?」
「そう、身体はね」
「それで、土の中にあるの?」
「身体はそうなるんだ」
「死ぬっていうことはどんなこと?」
「そうだな、トーマスとトムシィの写真を見たとき、二人の生活を思い出すだろう?」
「うん」
「二人は、お前の想像の中で生きているんだよ」

-「ドア・イン・ザ・フロア」(The Door in The Floor 2004 監督/脚本:トッド・ウィリアムズ)

この会話から、コール夫妻は二人の男の子を失ったことが分かります。そのあと生まれた幼いルースは、父親の良い話し相手となり、

「誰かが音を立てないようにしているような音」
(A sound like someone trying not to make a sound)が、夜中に聞こえる、などと話し、独特の鋭い感性を示しています。

(原島一男・はらしまかずお)

初出:「100語でスタート英会話」
   「映画のなかの このシーン、このフレーズ」(32)
    NHK英語教育番組テキスト2005年11月号  NHK出版
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2005年11月13日

「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill) (7)

 アナは撮影終了の記者会見で、その夜、ロンドンを発つと話します。そして、噂になったウイリアムとの関係は、「ただの友達です」と語ります。そこへ駆け込んできたウイリアム。


WILLIAM: Miss Scott, are there any circumstances in which you two might be more than just friends?
ANNA: I hoped there might be...but, no, I'm assured there aren't.
WILLIAM: And what would you say?
M.C.: No, it's just one question per person.
ANNA: No, let him...ask away. You were saying?
WILLIAM: Yes...I just wondered if a...a person begged you to reconsider, whether you would...reconsider...
ANNA: Yes, I'm pretty sure I would.
WILLIAM: That's very good news.
M.C. : Dominic...if you'd like to ask your question again?
QUESTIONER: Yes...Anna...How long are you intending to stay in Britain?
ANNA: Indefinitely.
「スコットさん、お二人が友達以上の関係であるという可能性はないのですか?」
「そういうことを望んでいたかも、、、いいえ、そうではないわ」
「それで、、、あなたは」
「質問は一つにしていただけますか?」
「彼の質問を聞きましょう。あなたがおっしゃりたいのは?」
「もし、誰かがあなたにあなたの恋の決断を変えることを嘆願したとしたら、もう一度お考えになるつもりはありますか?」
「はい、きっと考え直すでしょう」
「それは、とても良いニュースです」
「ドミニク、あなたの質問をどうぞ」
「はい、アナ、どれくらいイギリスに滞在されるお積もりですか?」
「期限なしに」
--「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill 1999年 ロジャー・ミッチェル監督)

 この一部始終は正に「ローマの休日」です。オードリー・ヘプバーンの王女アンがジュリア・ロバーツの女優アナに変わったに過ぎない。追い込まれた状況の中で、愛しい相手に自分の本当の気持を伝えようと必死に努力する二人のその姿。

 このシーンだけでなく、ほかのいくつかのシーンも「ローマの休日」を意識していることは明らかです。さて、この映画が「ローマの休日」を越えたかどうかなのですが、それは、あなたの判断にゆだねることにしましょう。

(原島一男・はらしまかずお)
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2005年11月12日

「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill) (6)

 恋の進行には障害がつきものです。アナはアメリカのボーイフレンドの突然の訪問を受けたりして、有頂天のウイリアムを悩ませます。とはいえ、一度芽生えた化学反応はちょっとやそっとのことでは断ち切るわけには行きません。アナはニューヨークの別宅にあったシャガールの絵をウイリアムにプレゼントし、自分の気持ちを打ち明けます。ところが、ウイリアムのほうは彼女への愛は変わらないものの、住む世界の違いを考えるとどうしても前へ進めません。

WILLIAM: I live in Notting Hill. You live in Beverly Hills. Everyone in the world knows who you are. My mother has trouble remembering my name
ANNA: Okay. Fine. Fine. Good decision The fame thing isn't really real, you know. Don't forget...I'm also just a girl. Standing in front of a boy. Asking him to love her. 

「ぼくの家はノッティングヒルで、あなたの家はビバリーヒルズで。世界中の人があなたを知っている。(ところが、)ぼくの名前を母は思い出せない」
「分かったわ。いいの。いいの。いい決断だわ。名声って本当は本物ではないのよ。忘れないで。私はただの女の子でもあるの。男の子の前に立って、愛してくれと頼んでいるの」

-「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill 1999年 ロジャー・ミッチェル監督 脚本:リチャード・カーティス)

(続く)
(原島一男・はらしまかずお)

初出:NHK英語教育番組テキスト「3ヶ月英会話」2000年1月号
名画のなかの‘冴えてる’会話 (10)   NHK出版
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2005年11月11日

「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill) (5)

 アナはマスコミの対象物です。折から、彼女の過去のスキャンダルが暴露され、もっともっと記者たちから追われるようになります。そこで、アナはウイリアムの家に身を隠します。食堂にあるシャガールの絵の前で。 

ANNA: I can't believe you have that picture on your wall.
WILLIAM: You like Chagall?
ANNA: I do. It feels like how being in love should be. Floating through a dark blue sky.
WILLIAM: With a goat playing a violin.
ANNA: Yes...Happiness wouldn't be happiness without a violin-playing goat. 
「あの絵をあなたが飾っているなんて信じられないわ」
「シャガール好き?」
「ええ、恋のあるべき姿を教えてくれるみたい。ダーク・ブルーの空を飛んでいるような」
「バイオリンを弾いている山羊と一緒にね」
「そう。バイオリンを弾く山羊さんなしでは幸せとは呼べないわ」
-「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill 1999年 ロジャー・ミッチェル監督 脚本:リチャード・カーティス)

(続く)
(原島一男・はらしまかずお)

初出:NHK英語教育番組テキスト「3ヶ月英会話」2000年1月号
名画のなかの‘冴えてる’会話 (10)   NHK出版
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2005年11月10日

「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill) (4)

 こうしたいきさつからデートを繰り返すようになった二人。ウイリアムはアナを友人たちに紹介します。それで、そこに集まった友人たちの中で一番「ミジメな存在」であることを証明した人がブラウニー(チョコレートケーキ)をもらえることになり、皆がそれぞれ自分のみじめさを語ります。最後がアナの番に。

ANNA: I've been on a diet every day since I was nineteen, which basically means I've been hungry for a decade. I've had a series of not nice boyfriends, one of whom hit me. And every time I get my heart broken, the newspapers splash it as bad as though it's entertainment. And it's taken two rather painful operations to get me looking like this...
HONEY: Really?  
ANNA: Really. And one day, not long from now, my looks will go, they'll discover I can't act and I will become some sad middle-aged woman who looks a bit like someone who was famous for a while.

「19歳から毎日ずっとダイエット続き。つまり10年間いつも飢え続けて来たわけ。ボーイフレンドも、いい人がいなくて、私を殴る男もいたわ。失恋で傷つくたびに、新聞は面白おかしく書きたてる。それに、二回も苦しい手術に耐えて、この顔になったの」
「本当?」
「本当よ。いつか、そのうちに、ルックスは衰えて、演技ができないことが分かり、私はただの寂しい中年女になるわ。有名だった女優にちょっと似てる女に」

・splash = 水をはねる。マスコミが書きたてる

-「ノッティングヒルの恋人」(Notting Hill 1999年 ロジャー・ミッチェル監督 脚本:リチャード・カーティス)

(続く)

(原島一男・はらしまかずお)
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